昨年末からこのブログをスタートして、過去にお気に入りだったイギリスのTVドラマや映画の感想を交えつつ、おすすめの新作ドラマを紹介しています。

先月辺りから続々と新番組がスタートし、このドラマはジャーナリズムがテーマになっていてとても面白かったです。6エピソードからなるBBCのミニシリーズ。

正統派新聞社「ヘラルド」とタブロイド(大衆紙)「ポスト」で働くベテラン記者とその編集部の舞台裏を描き、締切と発行部数つまり売上という多大なプレッシャーに晒されながらニュースを作り上げる記者たちとその人間模様がドラマチックにそしてリアルに伝わってきます。

イギリスの新聞社の現場を垣間見たようなエンターメントドラマ ネタバレあり


主人公は一般紙「The Herald」の敏腕記者ホリー・エヴァンス(シャーロット・ライリー)。
言論の自由、良識を持ち真実を伝える、といった本来の新聞記者のあるべき姿をどこまで貫けるのか。

私生活では親友を謎の交通事故で亡くし、悲嘆を癒せるのは仕事だけだった。
Charlotte Riley in Press (2018)

行動力と頭の良さで、何でもこなせる記者。モラル主義の「The Herald」が売上が低迷し業界内で窮地にあること、またルームメイトのエドに記事を盗まれたことが重なり、一度会社を辞めるが、最終的に戻ってくる。

向かいのビルに建つタブロイド紙「The Post」の記者ダンカン・アレン(ベン・チャップリン)
モラルよりエンターテイメント性の強い記事を重要視するカリスマ記者。どんな手段も厭わない結果重視型。仕事人間で私生活は破綻し、息子との面会についても元妻と協議中というありそうなキャラクター設定。典型的なパワハラ上司で面白いくらい冷酷でムカつくタイプ。

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この相反する2人を中心に、仕事人としてまた一人の人間としての葛藤と2人の関係が最大の見どころです。

イギリスでは一般紙と呼ばれる新聞(Gardian  The Times  Daily Telegraph  Independent  Financial Timesなど )と大衆紙タブロイドと呼ばれる新聞( The Sun Daily Mail Daily Mirror Daily Express など)
があり、タブロイドは日本でいうスポーツ新聞のようなもの。

このドラマでは「The Herald」が「The Gardian」で「The Post」がページスリーガールで有名な「The Sun」と言われています。

感想

ホリーとダンカンのキャラクターと2人の確執が面白い

ホリーは2年前にダンカンについてネガティブな記事を書いていたことから、お互いを知っていました。ルームメイトのエドが記事を盗んだ時も、ことあるごとに直談判しに行く行動力、発言力にダンカンも一目置いていたのが面白かった。プロ意識が強く冷酷な一面は似た者同志に思えた。

反面、理想と現実の間での価値観の違いは、ホリーとダンカンがそれぞれに守りたかったものが象徴しているのだろうと思いました。ホリーは正義と真実。ダンカンは息子。

また2人が時々会っていた教会が著名なジャーナリストが眠る場所であり、現実的に問題を抱えながらもお互いが鏡のように何かを示す存在になっているところが、尊敬の念と人道的な憎しみ、孤独感への共感のような複雑な思いが混じりあい、光と影の存在になっているところが面白かったです。

新聞紙面が出来上がる舞台裏と2つのライバル新聞社の対比

レビューでは、今時こんな取材方法をとっているなんて時代遅れとか書かれていますが、実際に新人記者エドがデスノックというやりたくない取材に押しかけたり、ライバル社間でのスクープの取り合い、だまし合いみたいなところがリアルでした。

上記の新聞社の方針イコール上司の指示次第で、書かれるトピックスや内容が違うというのは、現実でもありそう。

また、ヘラルドは民主的な方法をとり、一方ポストはダンカンの独裁で翌日の紙面が決まっていき、締切ギリギリで最終決定し印刷されていくシーンは何ともエキサイティングなシーンでした。

「Post」のオーナー、エマーソン役に「名探偵ポワロ」のデビット・スーシェが出演し、もの凄い存在感でした。そして引けをとらないベン・チャップリン。こういうアクの強いキャラクターが上手く、彼の好演に依るところが大きいだろうな。

日本での字幕版に期待します。


★★★★☆

スタッフとキャスト

2018年 BBC
監督:トム・ボーガン 「Victria」「女医フォスター」
脚本:マイク・バートレット 「女医フォスター」
キャスト:シャーロット・ライリー「ピーキー・ブラインダース」 ベン・チャップリン 「アップルツリーヤード」デヴィット・スーシェ 「名探偵ポワロ」