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「シャーロック」は2010年から始まったBBCの大人気ドラマシリーズ。ベネディクト・カンバーバッチ演じる現代版シャーロック・ホームズは彼の声の美しさと抑揚のあるキレのいい語り口調に魅せられ、このドラマを見た瞬間から大ファンになりました。

シーズン3までの印象を覆すサプライズがいっぱい 

シーズン4は昨年放映され、今回Netflixで字幕版を視聴しました。

このドラマはもの凄く緻密に作られ、ユーモアもあって、周辺情報を知ると面白さがグッと増す味わい深いドラマなので、知的好奇心を満たしたい人におススメです。

Rupert Graves, Amanda Abbington, Martin Freeman, Mark Gatiss, Una Stubbs, Louise Brealey, and Benedict Cumberbatch in Sherlock (2010)

レビュー 見どころ ややネタバレ

いちばんの見どころはなんといってもシャーロックの人間性とジョンとの友情に焦点があてられていることではないでしょうか。

シャーロックとジョンの関係がドラマチック

E1でパパとなったジョン。シャーロックとハドソン夫人が名付け親として洗礼式に参列します。一方でサッチャー像にまつわる難事件を追う中、シャーロックはメアリーの過去を知ります。そしてテロ組織に情報を流した真犯人に、メアリーはシャーロックをかばって射殺されてしまいます。E2ではメアリーを失った悲しみからジョンとシャーロックの間に溝が入り、シャーロックは孤独にさいなまれ薬物依存を再発させます。とにかく盛りだくさんな展開。

Amanda Abbington, Martin Freeman, and Benedict Cumberbatch in Sherlock (2010)

それを救ったのはハドソン夫人やモリー、ジョンの心の声として登場するメアリー。そしてシャーロックが本能的に興奮する連続殺人犯への挑戦心。天才的な推理力は健在なまま、女性たちに肩を押されながらシャーロックはジョンに救いを求め、自分が犠牲になりながらも殺人を食い止めようとします。 後述しますが、複雑に絡む伏線でE3では兄マイクロフトともに3人窮地に立たされ、究極の選択を強いられますが、結局ジョンとの関係がより強いものになっていく過程が何ともドラマチックでした。

エピソード完結でなく、すべてが伏線となる巧妙なプロット

シーズン4の一番驚きの登場人物はシャーロックの妹ユーラスの存在。
ユーラスはシャーロックの心の闇を映しているとも言われ、天才がゆえに愛情表現ができない。
兄マイクロフトやモリアーティ、そして姿を変えてE1からずっと登場していたということが後半わかり、度肝を抜くプロットに驚きの連続です。「羊たちの沈黙」のような殺人の感情を持たない人格が薄ら怖い。

関連画像

少し複雑すぎるので、Wikiなどで解説を読むことをおすすめします。

スパイ映画を思わせる演出と魅力あふれる登場人物たち

シーズン4全体を通じて感じたのは、007を彷彿とさせるようなスタイリッシュな映像や演出。
E1ではアクションシーンもあり、コードネームを多用したり、要塞的なシーンが多く、スパイ映画をみてるかのよう。


兄マイクロフト。はっきりした正体は不明だが、国家機密に係わる重要なポジションにいると思われる存在。知的なゲームが似合う。


E2に登場する実業家カルバートン・スミス(トビー・ジョーンズ)の存在感も強烈!
シリアルのコマーシャルに出演するシリアルキラーというブラックさ。
シーズン4のキーパーソンはユーラスとこのスミス、そしてメアリーです。


パンクマダムのハドソン夫人 上品な外見と経歴のギャップがたまらない愛すべき存在。
こんなマダムに憧れる。

Andrew Scott in Sherlock (2010)

そしてシャーロックに無くてはならない存在といえばモリアーティ(アンドリュー・スコット)。登場時間は短いですが、E3では極め付けのシーンもあって盛り上がります。ロック(クイーン)が似合う。

推理ドラマの中の笑いの落とし方がもの凄く上手い!

Game is on. Because I love it.

メアリーが亡くなったことで、大切なことに気付き、ワトソンの存在がかけがえのないものになったシャーロック。記憶から消されていた妹の存在を知ってから、ファミリーといえる身近な人たちとの関係に変化があったのが、何ともドラマチックでした。モリーやレストレード警部への接し方も変わって何ともいい感じ。最初はそこに違和感もあったけれど、ドラマを作っているスタッフの愛が感じられてどんどん好きになったんですよね。

Martin Freeman and Benedict Cumberbatch in Sherlock (2010)

そんなことに気付いたエンディングシーン。

ここはロンドンのラスボーンプレイスというシャーロックゆかりの場所。過去にシャーロックを演じた俳優さんへの敬意を表しているそうです。

このシリーズの始まりのワクワク感が呼び起こされる清々しさ。

あらためて、このドラマはじっくりと台詞や演出を味わう気持で観れば観るほど面白さが噛みしめられると思いました。

★★★★☆

詳しい解説あらすじは こちら

スタッフ キャスト

2017年1月放映 BBC
原作:アーサー・コナンドイル
脚本:マーク・ゲイティス スティーブン・モファット スティーブ・トンプソン
キャスト:ベネディクト・カンバーバッチ マーティン・フリーマン マーク・ゲイティス
     ルパート・グレイブス アンドリュー・スコット ユーナ・スタッブス
     ルイーズ・ブリーリー シャーン・ブルック トビー・ジョーンズ

写真出典: BBC One SHERLOCK